はじめよう!無香料生活@埼玉の会

「無香料」の日用品を選んで、身体と環境にやさしい生活を始めませんか?

柔軟剤が香水より「香害」になるのはなぜ?

最近、よく耳にするようになった「香害(こうがい)」。
「香害」とは、柔軟剤や合成洗剤、芳香剤、スプレーといった日用品に含まれる、人工的な香料や消臭・抗菌成分などの化学物質で引き起こされる “公害” のことを言います。
頭痛、吐き気、目やのどの痛みといった健康被害や、環境への影響が問題になっています。
体臭などの自然発生的な匂いは含みません。


「強い香り」というと香水を思い起こす人も多いでしょうが、
NPO法人日本消費者連盟などが運営する「香害をなくす連絡会」が2020年に行ったアンケート調査では、
体調不良を起こした製品の1位が柔軟剤(86.0%)、2位が香りつき合成洗剤(73.7%)、3位が香水(66.5%)でした(複数回答可)。


なぜ柔軟剤や合成洗剤の香りがつらいのでしょうか?

香水は、身体の数ヶ所につけるだけですが、柔軟剤や合成洗剤は洗濯に使用するため、衣類すべてに人工香料が染み込んでしまいます。
特に、洗濯機の柔軟剤投入口に入れた柔軟剤は、脱水の最後に洗濯物に加わるため濯がれていません。
さらに、そのように洗ったタオルで髪や身体を拭いたら、全身に柔軟剤の人工香料をくっつけてしまうことになります。


また、香水と柔軟剤に使われている香料は違います。
商品にもよりますが、値段が数千円する香水は草花から抽出した天然香料を使っていることが多いのに対して、
数百円で買うことができる柔軟剤のほとんどは、石油から作った人工香料が使われています。
値段が安いということは、それだけ安価で質の悪い原料が使われているということです。
国際香粧品香料協会(IFRA)という民間団体が、2015年に公表した3000種類の香料の内、
約半分が国連のGHS(化学品の表示に関するシステム)で毒性や危険性が認められているものでした。


さらに、テレビCMで「香りがつづく」「香りが弾ける」「ずーっと消臭」など効果が続くことをアピールしている柔軟剤・合成洗剤には、プラスチック樹脂製の「マイクロカプセル」が配合されています。
カプセルの中に人工香料を封じ込めて、汗や摩擦などでカプセルが少しずつ弾けることで効果が長持ちするのです。
カプセルの中に消臭成分や抗菌成分を入れているものもあります。
カプセル化した香料は柔軟剤使用者の服から飛び散りやすくなり、“良い香り” がした時、人工香料などの化学物質と一緒にマイクロプラスチックも吸いこんでいるのです。
EUでは、人体にも環境にも悪影響であるとして、来年から日用品へマイクロプラスチックを入れることを禁止しようとしています。


香水の天然香料も、薬品を使って抽出した時点で自然のものではなくなっているので、天然香料でアレルギー反応が出る人もいます。
けれども、時間とともに消えていき、つける量を調節できる香水の方が、柔軟剤や合成洗剤よりはずっと “自然な香り” なのです。

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「柔軟剤のにおいに関するトラブル急増、健康被害も問題に」ポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20190415_1351098.html?DETAIL

「香りブームの裏で、懸念される『香害』と『マイクロカプセル』による健康被害」ハーバービジネス オンライン
https://hbol.jp/197196/

「『香害』 見えてきた環境問題 ~マイクロプラスチックの影響は」RKB毎日放送(10分のニュース動画)
https://youtu.be/l10CWhy3dTg

「STOP!香害」パンフレット(NPO法人 ダイオキシン環境ホルモン対策国民会議
https://kokumin-kaigi.org/?p=3623